Takamiyこと、THE ALFEE 高見沢俊彦のエレキギターのライブでの音色に迫ります。
Takmaiyのシステムは、ずばり
■アンプの種類と歪みの量
■空間系エフェクトの種類とかかり具合
■低音の量
この3つを瞬時にコントロールできる設計なのです。
そして、基本的な考え方として
歪の量や空間系の種類やかかり具合は曲によって決まっているのです。
「ストラトはこのセッティング」「レスポールはこのアンプ」という考え方はしておらず
曲が求める音色ありきで機材のパラメーターが設定されているのです。
同様に、「シングルコイルはこれでブースト」とか「EMGはこのアンプ」という発想も違います。
例えば、「Pride」は1959年製のレスポールで演奏されたり、1957年製のストラトだったりしますが
オブリガードのクリーントーンやソロのドライブサンドの設定はいずれも同じです。
つまり
アンプやエフェクトのパラメーターは曲ごとに固定し、あとはTakamiyがどのギターを選ぶかで
音色が決まるのです。ギターやピックアップの特徴がモロに出る設定なのです。
以下の書籍を参考にして、分析してみます
■ヤングギター 2017年10月号
シンコーミュージックエンタテインメント
■from the BACKSTAGE 2011-2017 Part.1
プレイヤー・コーポレーション
■Player 2018 2018年10月号
プレイヤー・コーポレーション
などです。
いずれも現時点から4〜5年前の資料です。所有ギターの増えた現在とは多少違うかもしれませんが、近年のライブのDVDなどを視聴する限り音の傾向に大きな変化はないように思います。
2022年の夏のイベントに参加した際、上手袖がよく見える席だったのですが、
2018年当時と比べて、
VHT PITTBULL ULTRA-LEADが撤去され、
Fractal Audio SystemのAXE-FXⅢが導入されていました。
これまでペダル2つ程度しか置かれていなかったTakamiyの足元にはCAEのMIDIコントローラーが配備されていました。(テレキャス様から情報提供)
また、2022年12月24日の日本武道館での公演では
ラック内にFLYETTE CLASSICのロゴが入ったブラックパネルのアンプがセッティングされているのを目視で確認しました。
というわけで、この記事は2017年~2018年当時にTakamiyが使っていたライブでの機材を扱ったものになります。最新のものとは異なります。
80年代については下記です。当時のアンプについて記載しているのですが、ギターサウンドへの考え方や理想のあり方は当時すでに固まっていたように思います。ぜひご覧ください。
システムの概要
主な機材
- ブースター
■BOSS FDR-1
■ランドグラフClean Boost
■ランドグラフMO-D - プリアンプ
■CAE 3+ SE (チューブプリアンプ)
■VHT Pittbull Ultra-Lead (プリアンプ部のみ使用)
■FRACTAL AUDIO Axe-Fx Ultra (アンプモデリング)
■Line6 POD Pro (アンプモデリング) - モジュレーション
■BOSS TR-2 ANALOGMAN改 (トレモロ)
■YAMAHA CH-03 (コーラス)
■Line6 MN4 Modulation Modeler (フェイザー、フランジャー,トレモロ)
■t.c. electronic TC2290 (デジタルディレイ)2台
■Eventide Ultra-Harmonizer (ハーモナイザー 各種エフェクト)3台 - スピーカーシミュレーター
■パルマー PGA-05(2017年) ADIG-ST(2018年) - パワーアンプ
■VHT Twenty One Hundred - キャビネット
■Bogner 1×12 Celestion Vintage 30×1
ヤマハのコーラス CH-03は1986年のシステムにも組み込まれていて、かなりの長寿です。
おそらく特定の曲で決め打ちで使用しているのでしょう。
デジタルディレイTC2290も1985年発売。1988年秋ツアーのパンフレットに掲載されていて、
35年間に渡って使い続けています。
単体のトレモロ、コーラス、フランジャー、フェイザーは比較的安価で手に入る機材を使っているようです。
接続
膨大な数の機材が並んでいますが、基本的には
ブースター→プリアンプ→空間系 モジュレーションの順となります。
CAE 3+ SEはクリーンとリードの2チャンネルを使用しているのでアンプは全部で5種類、3つのブースターを使っているとすると基本的な音色は15種類と推測されます。
そこに、各曲ごとに固有のディレイや空間系のエフェクトがかけられます。
つまり、歪量などで決めるBASICな音色と曲固有の音色の2種類があると言えます。
アンプで歪みの量が決まったあとですが、
モジュレーション系エフェクトをかけるのは片方のチャンネルのみで、もう片方のドライ音とミキシングされた音がスピーカーシミュレターに送られます
これはどういう事かというと
空間系のエフェクトのかかり具合をミキサーで自在に調整しているのです。
続いて、エフェクト処理などが終わりほぼ完成した音ですが、
スピーカーシミュレーターの音はパワーアンプ&キャビネ側とPA側に分岐され、
その2つが卓でミックスされます。
つまり、キャビネットからマイクで拾った音と、PA直の音がミックスされています。
これはどういう事かというと
低音の少ない小さなキャビネットの音と、フルレンジのライン音をミックスすることで低音の量をミキサーで自在にコントロールしているのです。
少し話がそれますが、
Takamiyの80年代のキャビネットの変遷を調べてみると、
■83年 2段スタック
■84年 3段スタック
■85年 2台を平置き
という具合に80年代はスタックの方式を変えることで低音の量を調整していたのです。
詳しくはこちらです。
*スタックすればするほど低音が出ます。
話を戻して、この2017年のシステムは、
■アンプ、歪の量を瞬時に切り替えられる
■細かく設定された空間系エフェクトを曲ごとに瞬時に呼び出せる
■空間系エフェクトのかかり具合をミキサーで自在に調整できる
■低音の出具合をミキサーで自在に調整できる
よく考えらえた設計になっているのです。
各パラメーター
アンプの設定
CAE 3+seですが、スティーブルカサーがVHTのパワーアンプと組み合わせて使ってこともあって、
かなり有名なアンプです。近年ではFRACTAL AUDIO SYSTEMSのギタープロセッサーに搭載されていたりします。
CAE 3+ SE CHANNEL1 クリーントーン
■BRIGHT ON
■GAIN 4
■BASS 4
■MIDDLE 4.5
■TREBLE 5
■MASTER 5
EQ (1CH 2CH共通)
■LEVEL 8
■TREBLE 5.5
■BASS 5
CAE 3+ SE CHANNEL2
■BRIGHT ON
■GAIN マーキングなし
■BASS 6
■MIDDLE マーキングなし
■TREBLE 8
■MASTER 7あたり
CAE 3+ SE CHANNEL3 ハードな曲のバッキング
■BRIGHT ON
■GAIN 4
■BASS 3
■MIDDLE 6
■TREBLE 9
■MASTER 7あたり
2022年9月7日に追記あり
参考までにCAE 3+ SEの音です
下記の記事でTakamiyのGIBSON LesPaul Standard 59をCAE 3+ SEで鳴らしたと思われる音を紹介しています。
VHT Pittbull Ultra-Lead
■GAIN 11時(リードCH リズムCH共通)
■VOLUME 11時(リードCH リズムCH共通)
■TREBLE 16時
■MIDDLE 13時
■BASS 13.5時
ブースターの設定
FDR-1
■GAIN 10時
■LEVEL MAX
■TREBLE MAX
■BASS 10時
■VIBRATO 0
■REVERB 0
これはおそらく2017年当時、演奏していたカンレキーズの楽曲用と思われます。
fender好きの私はたまたま所有しているのですが、これを使うとノイズの出方など含めなんでもデラリバっぽい雰囲気になります(それ以外の用途では非常に使いにくい)。
ランドグラフClean Boost
■ブーストは13時の位置
ランドグラフMO-D
■VOLUME 9時
■TONE ほぼセンター
■DRIVE 13時
特徴的なのはFDR-1の設定で、GAINは控えめにしてLEVELとTREBLEがマックスです。
思い切りアンプをドライブさせるセッティングになっています。
MO-Dのパラメーターは写真によってまちまちです。トグルスイッチはセンターのようです。
デジタルディレイ
いわゆるディレイ2個掛けでクリーントーンを作っていると思われます(ロングが先)。
86年当時の取材ではSDE30002台の間にSPX90を入れていました。
TC2290 プリセット16
■TIME 420
■FEEDBACK 48
TC2290 プリセット3
■TIME 20
■FEEDBACK 0
いずれの写真もTIMEは420msと20msの2種類が表示されていて、固定だと思います。
2022年夏のイベントでははこのディレイタイムが終始表示されているのを目視しています。
EVENTIDEの空間系エフェクトとTC2290のロングディレイで作った音に、TC2290のショートディレイをかけていると理解できます。
アルバムの音源では2002年の「Going My Way」に収録されている「Candle Light」のアルペジオの音色などがディレイ2個掛けに該当します。
ハーモナイザー
EventideのGTR4000が1台にH3000が2台セットされています。
ハーモナイザーだけでなく、ディレイなどのエフェクトもこれを使っているようで
フル活用しています。
EventideのUltra-Harmonizer ですが、このエフェクトが必要な曲ごとにキーや上下に加える音が違うので、セッティングはかなりの数になるかと思います。
参考までに、ハーモナイザーを使わないと成立しない例として「1月の雨を忘れない」のパラメーターを再現してみました。
まとめ
TC2290やH3000などは、80年代後半に爆発的に流行った機材です。
事実関係としては古い機材を使い続けているということになります。
しかし
Takamiyの80年代の機材や接続を調べてみたのですが、
理想とするギターサウンドのあり方や、そのために必要な機材などは当時すでに開拓されていたことが伺えます。ブラッシュアップを続けているのでしょう。
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コメント
CAE 3+ は、1chと3chを使用しているようですよ(ヤングギターによると)
ありがとうございます。そうみたいですね。修正します。