2019年に光栄堂楽器で購入したエリック クラプトン ストラトを例に紹介します。
ギターを買っては売るを繰り返してきた私ですが、これは手放せません。
この記事を読めば普通のストラトと何が違うのか?ということがお分かりいただけると思います。
このギターは、ヘッドに”BLACKIE”のデカールがあるせいか、中古販売のサイトなどで「BLACKIEを再現」という売り文句を見かけますが大間違いです。
BLACKIEは50年代製のストラト。ここで扱うクラプトンモデルは86年当時の最新技術が投入された新しいストラトです(史実としてBLACKIE引退後のメイン機になっています)。
クラプトンモデルの特徴を端的にまとめると、
■アクティブピックアップ搭載
■トーンコントロールの可変幅が通常のストラトと違う
■弦振動のブリッジ側の伝達メカニズムが通常のストラトと違う
見た目はビンテージスタイルですが、「ギターの音」に関わる本質的な部分がカスタマイズされています。22F仕様になっています。
ネックシェイプは「ソフトV」で、
ビンテージタイプのVシェイプと比べて薄い握り具合です。
そして、フィンガーボードのラジアスは9.5″ となっていて、
こちらもビンテージタイプに比べて緩やかな指板です。
ビンテージタイプのストラトのネックについては下記に詳しく書いています。
この記事はクラプトンモデルだけでなく、ストラトを検討している人にぜひ読んでもらいたいです。
クラプトンモデルは、
見た目はビンテージタイプですが、かなりモダンなスペックです
まずは、肝心な音について紹介します。
ピックアップとTBXコントロール
搭載されているVintage Noiseless Strat Pickupsの出力インピーダンスは9.8kΩ。低インピーダンスと言われ、エレキギターの信号としてはスリムです。信号が劣化する恐れとノイズの影響が低くなります。
出力インピーダンス(=レジスタンス)が低いとういのは
イメージ的には信号が雄大な大河を流れている感じです。
大河に多少のノイズが入ってきても信号の流れに影響は少なく、まさにノイズレス状態です。
振動量の多い高音域も悠々と流れるので劣化も少ないです。
手元で幅広い音作りができる
見た目はヴィンテージタイプのストラトですが、
プリアンプが内蔵されていて手元で色々な音色を作ることができます。
実際にクラプトンも曲中にいじりまくっています。
続いて、
裏側のキャビティー部分に電池ボックスがあります。シールドの抜き差しが電源のオンオフ
になっていて、電池が切れると音が出ません。
ブリッジは動かないよう固定されていてトレモロを使うには
改造やセッティングの変更が必要です。
なおかつトレモロユニットとボディーの間に木片が入っていて、
弦振動がボディーに伝わるメカニズムが通常のストラトとは異なります。
詳細は後述します。
ボリューム8 TBX5 ミッドブースト0で通常のストラトの音
エリッククラプトンモデルの大きな特徴として、コントロール ノブの機能が
通常のストラトと違います。
まず、一番上のノブはマスターボリュームです。こちらは普通のストラトと同じ機能なのですが、
8の位置で普通のストラトのMAXと同じ音量になります。
ちなみに私の手持ちのGIBSON SG STANDARDのMAXとも同じでした。
スイッチは5WAYでハーフトーンが出せます。
TBXコントロールによる実際の変化
真ん中のノブはTBXコントロールです。回路図を見るとローカットするものとハイカットする2つのポットが連なっています。
TBXコントロールを実際に回してみると、5の目盛りにセンタークリックがついていて、
これが通常のストラトのトーン全開の状態 基本設定です。
TBXはトレブルのブースターとして機能し、増やすと高音域が増えます(ローがカットされる)
残響音の高音が目立ちます。一般的なストラトらしい音になる気がします。
減らすと低音域が増えます(ハイがカットされる)。
ミッドブーストによる音の変化
一番下はミッドブースターです。25dbまでブーストできます。回すと音がどんどんファットになり、ボリュームも上がります。
聞いていただくとわかると思いますが、レスポール系のギターの歪みとは違って、シングルコイルの音を太くした独特の音です。
クラプトンモデルの特徴
■マスターボリューム8で通常のストラトと同じ出力
■TBX5で通常のストラトと同様 数値を増やすと高音が強調される
■ミッドブースター0で通常のストラトと同様
音への影響大 ブリッジは固定され隙間に板
トーンコトンロールは通常のストラトのようにも近づけることができますが、振動の要となるブリッジ
はがっちりと固定されていて、なおかつ、裏には5本のスプリング、ボディーとの隙間には木片が
挟まっていてます。これは通常のストラトとは大きく異なります。
木片はトレモロユニットが動かないようにするためだと思いますが、その木片を経由して弦の振動がボディーに伝わるので、木片のない通常のストラトとは振動伝達の系統が異なると言えます。
具体的には、通常のストラトより多くの振動がボディーへ伝わるので
通常のストラトよりもサステインが少ない傾向になると言えそうです。
クラプトンモデルは
■トーンコントロールの回路が異なる
■ブリッジ側の弦振動の伝達経路が異なる
おすすめの使い方
私が購入した光栄堂おすすめしている使い方を紹介します。
マスターボリューム8 TBX5 ミッドブースト0にしておいて、
アンプは軽いオーバードライブに設定、その上で
■マスターボリュームを5にしてクリーン
■マスターボリュームを7〜8にしてクランチ
■マスターボリュームを10にしてハードなクランチ
そこからミッドブーストを上げてリード
といった感じでボリュームとミッドブーストで歪みを調整する使い方を
推奨しています。TBXは適宜お好みで調整という感じでしょうか。
もちろんこれに縛られる必要はなく、
初めからミッドブースト全開でもいいと思います。
バンドサウンドの中で、他と干渉しない音域を狙えたり、
アンプやエフェクターとのマッチングが無限にあるなど楽しみ方が幅広いストラトです。
最後に、フロントのハーフトーンにコーラスとリバーブを掛けて「Holy Mother」を弾いてみました。
コーラスとの相性が良いように思っています。音作りの参考にしてください。
2023年6月末に世界初のフェンダー旗艦店が原宿に登場します。
「ブラッキー」の愛称にまつわる記事です
アメビン2のレビューです
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コメント
ギターの解説をするのであれば、正しい言葉でお願いいたします。
ポッド✕ ポット◯
ありがとうございます。