BOSSのマルチエフェクターGT-1を使ってエリック クラプトンの設定を再現してみます。
上記の音色の作り方をこの記事では説明します。
近年のクラプトンのストラトの音は、
カラッとした抜けの良いクリーントーンで、コンボアンプがスピーカーだけでなく
全体で響いているように聞こえます。
これを再現しようと色々と試行錯誤したのですが、
結果的には、GT-1のプリセット95に入っているパッチ「TWEED CLEAN」と
似たような感じになりました。BOSSもおそらくクラプトンを意識して作ったのだと思います。
とは言え、いろいろ調べて考えに考え抜いて自分で作ったパッチは、とてもいい音であったり、思い入れのある設定になっているはず。ちょっと大袈裟ですが、音色というギタリスト資産が形成されていると思って取り組みましょう。
まずは、このブログ内「GT-1の簡単な使い方 基本編」をぜひお読みください。
今回は続編という感じで、実際にパラメーターや接続を触ることになります。
参考にするのは2016年4月に来日した時の音源です。
演奏中に手元のTBXコントロール、ピックアップセレクターをかなり頻繁にいじっていることがよくわかります。1小節単位で触っているシーンも見受けられます。
主にフロントピックアップ、フロントとセンターのハーフトーンを使っています。
バンドサウンドとしては、
クラプトンの声がかなり太い中域から低域寄りと言えます。
そして、
ソロを弾く時は音域を補完する形で中域をブーストすることがあります。
ミッドブーストを使うのはボーカルがないときだけです。
つまり、
クラプトンの音色を再現しようと思ったら、基本的なセッティングを高音側に寄せることが肝心であると言えそうです。
ギター単体での演奏だけを考えてずっとミッドブーストをオンにしたり、音が細いからと言ってアンプのミドルをあげるとダメです。
再現するにあたって、
ギターはフェンダーのストラトキャスター エリッククラプトンモデルを使います。
特徴や実際の音はこちらに掲載しています。
トーンコントロールは、
ボリューム8 TBX5 ミッドブースト0で音作りを始めます。
つまり、通常のストラトと同じ音が出る設定です。特にボリュームは音色に大きく影響するのできっちりと固定して始めることが大事です。
プロセスは、
1 狙う音や機材、セッティングなどの情報収集
2 収集した情報をGT-1内で再現
3 実際に鳴らしながらアレンジ
と、シンプルな行程です。
GT-1で音を完成させて、アンプはモニタとして使います。
→ヘッドフォン端子からヘッドフォンやスピーカーに出力しても良いでしょう。
エリッククラプトンの機材とセッティング
まずは、情報収集です。
まさに参考にする音源のバックステージを取材した記事です。
エリック・クラプトンのバックステージに潜入!!
記事によると、
ギターは
フェンダーカスタムショップの名匠トッドクラウスが製作したという
エリッククラプ・トンストラトキャスター。時々中古で出てきます。
アンプはフェンダー・バンドマスターのリイシュー。
特徴としては
ツイード外装 26Wの出力、
プリアンプに3×12AX7、パワー管 は2x6L6
キャビネットは10インチのアルニコが3発
トーンコントロールはプレゼンス、ベース、トレブル
そして重要なのはマスターボリュームがない仕様であることです。
クラプトンのセッティングは
PRESENCE 6
BASS 6
TREBBLE 9
VOLUME 7
これで本番に臨んだという確証はありませんが、大いに参考になるかと思います。
ギターとアンプ以外はレスリースピーカーとジムダンロップのワウペダルだけです。
これもGT-1で再現できますが、今回はベースとなる音色作りを目指します。
ちおなみにアンプは中身が改造されていてBANDMASTERとは別物であることが、Player 2022年 季刊Autumn号のインタビューで判明しています。パラメーターを全部7にするとスイートスポットになるように設計されているそうです。
しかし、ここは気にせず行きましょう。
GT-1で再現する
EXIT ENTERの同時押し、INITIALIZE→ENTERでユーザーパッチを初期化、
基本パラメーターに戻した状態から始めます。こちらに基本パラメーターを記載しています。
プリアンプを選ぶ
PREAMPボタンを長押ししてアンプの選択、パラメータの設定に入ります。
GT-1には4つのフェンダーアンプのモデリングが搭載されていますが、
残念ながらBANDMASTERはありません。
最も近いと思われるTWEEDを選びます。
GT-1のパラメーターガイドなどによると、
■FenderのBassman 4×10”Comboをモデリングしたもの。
■出力は40W
■スピーカーキャビネットはアルニコの10インチ4発
■真空管は同じ6L6
これを選ぶ理由としては消去法です。
デラックスリバーブをモデリングしたDELUX CRUNCHは出力が20Wと近いのですが、
アンプの個性が強すぎる気がします。どうやってもデラリバの音になってしまいます。
また、CLEAN TWINは出力が85Wなので、26Wの音は再現不可能でしょう。
同じ40WのPRO CRUNCHは、スピーカーが2インチ大きい12インチです。
次点としてありかというレベルです。
パラメーターを設定
前述の通り、クラプトンのアンプのセッティングは、
PRESENCE 6
BASS 6
TREBBLE 9
VOLUME 7
つまり、
PRESENCE 正午の位置
BASS 正午の位置
TREBBLE 15時の位置
VOLUME 13時の位置
というバランスです。高音域を強く出すセッティングであることが如実です。
実際にGT-1に落とし込んでいきます。
PRESENCE、BASS、TREBLEは上記の位置で固定しますが、それ以外はアレンジが必要です。
VOLUMEの設定
GT-1のTWEEDにはVOLUMEというパラメーターはないので、LEVELとGAINで決めていきます。
まずはLEVELです
クラプトンのBANDMASTERは出力26Wに対してボリュームが13時の位置です。
今回は、出力40Wのアンプで再現しようとしているので、
パワー部に同じ割合の負荷をかけるとすると、
LEVELは14時〜15時くらいの位置が最適かと思われます。
歪んでしまってはダメなので良きように
調整してください。
続いてGAINです。色々試しましたが、
GAINは25〜30が良いようです。
すこし低い設定ですが、
上げすぎるとPRESENCEの効きが悪くなります。
高音に寄せることがクラプトンサウンドのキモなのです。
MIDDLEの設定
BANDMASTERには搭載されていないMIDDLEのパラメーターですが、
ここではとりあえず、ゼロに固定するのがよいでしょう。
クラプトンは中域を手元のTBXでコントロールしています。
中域は多すぎると抜けが悪くなり、少なすぎると細い音になりますが、
これは、実際にギターを鳴らす現場で試してみるしかありません。
スピーカーキャビネットの設定
BANDMASTERのスピーカーは10インチが3発ですが、GT-1にはその構成がありません。
このことを認識しておくことが必要です。
設定としては、ORIGINにします。4×12や8×12を選んでしまうと、密閉型キャビネットの音になってしまうので注意が必要です。低音がたくさん出てハードロックぽいストラトの音になります。
もちろんわざと狙ってその設定にするのはアリです。
BRIGHTはオフにします。現場でオンオフすれば良いかと思いますが、かなり効きます。
※注意 MENUボタンから入るシステムパラメータで、アウトプットの選択がLINE/PHONESに
なっていないとキャビネットの選択はできません。
音を出してアレンジ
手持ちのローランド JC-22のリターンに出力してみます。
ギター側のボリュームは全て8です。
ZOOMのQ2Nで録音した音です。
最後にコーラスをかけてライン録りした音を紹介します。
この音色を作っていて、
BOSSのコーラスがクラプトンモデルと相性が良いことを発見しました。自己満足ですが私の好きな80年代中期の感じが漂います。
まとめ
今回作ったパッチのパラメーターをまとめると
■TYPE TWEED GAIN 26 LEVEL 80
■BASS50 MIDDLE 0 TREBLE 80
■PRESENCE 50 BRIGHT OFF SPTYPE ORIGIN
結果的にGT-1のプリセット95に入っているTWEED CLEANをさらに高音側に寄せた音になった感じがします。
クラプトンの音作りはとにかく、バンド全体を考え、高音域に重きを置いたセッティングであることがよくわかります。ギター単体で弾くと低音が物足りない感じがしますが、それが正解なのだと思います。
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