2022年11月5日に発売されたヤマハのムック、「大人のギター倶楽部」のレビューです。
THE ALFEEの坂崎が表紙を飾っているので購入しました。
THE ALFEE坂崎と所ジョージに関する部分のレビューとなります。
インタビューの内容などは素晴らしいと思います。価値があります。
一方で、
本作りの手法というか、姿勢の部分で疑問に思う部分もあります。
良い所と悪い所
坂崎と所ジョージの古くからの関係が活字化されるのは貴重な機会だと思います。
また、坂崎のインタビューでは、10月に発売されたTHE ALFEEの新曲、星空のCeremony / Circle of Seasonsのレコーディングについて語られています。そこから得られる情報は多く、とても貴重な記事になっています。
THE ALFEE推しはぜひ買っておいたほうがいいと思います。
一方、表紙の写真ですが、
坂崎と所ジョージの2人を別々に撮影したものが合成されていると思います。
対談中、所ジョージのギターが次々と出てくることから、現場は所ジョージの事務所で間違いないと思います。
所ジョージが、取手をつけたGIBSONのギターを坂崎に「持ってく?」と贈呈するシーンが文字で再現されているのですが、2人の様子やそのギターの画像がありません。
坂崎のインスタに出ていると案内があるだけです。
そもそもリアルな2ショットの写真がありません。文庫本ならともかく、カラーのムックでこれはどうなんでしょうか?
要するに、坂崎と所ジョージの対談という価値ある歴史的なイベントだったにも関わらず、その写真が全くないのです。
この本の値段は、税込みで2200円ですが、音楽雑誌にALFEEが登場する場合は千円台半ばの値段になります。これに所ジョージや他のアーティストの値段が加わったと考えると妥当な価格設定だと思います。
ちなみに同じ11月発売のこちらは1430円
表紙のパワー
それにしても店頭ではひと際目を引きます(下の写真)。
坂崎はそうでもないのですが、所ジョージの雰囲気や細い目が独特な感じがして、私も含め、これに呼び止められて購入した人もいると思います。所ジョージがアコギを持っている写真はギャップ萌えです。
■THE ALFEEの公式HPでの発表は10月27日 発売は11月5日。
奥付には初版の発売日は2022年12月5日と記されています。
あまり本の内容とは関係ありませんが、
書籍に記載する発売日はなるべく遅い日付にした方が有利なのです(本屋に長く置けるしフラゲ感なども演出)。
坂崎幸之助×所ジョージ
2人の関係がこうして公式に記されることに価値があると思います。
漫画「ドリーム・ジェネレーション」に馴れ初めのころの様子が描かれていますが、その後のアルバム制作の経緯、近年の付き合いなどが活字になり後世にきちんと残ることになりました。
2人の関係ですが、所ジョージの方が坂崎にベタ惚れだったことが公式に明らかになったことになります。「得しかない」と思ったそうです。
THE ALFEEのファンは買って読んで損はないと断言します。この2人の組み合わせが大ぴっらになることはこの先そう多くはないと思います。
坂崎幸之助のインタビュー
主に、10月に発売されたTHE ALFEEの新曲、星空のCeremony / Circle of Seasonsのレコーディングについて語られています。
星空のCeremonyのアコギ
マーチンのD-45を使用したそうです。
チューニングは半音下げで転調後は1カポとのこと。ライブではグライダーカポを使うと宣言しています。
Circle of Seasonsのコード進行
マーチンのD-45ですが、6弦からDADDADのオープンDチューニングで最初から最後まで弾いているとのこと。
レコーディングでは、TakamiyからオープンDチューニングでD♭のコードは弾けるのかと問い合わせがあったそうです。最初は無理だと断ったそうですが、Takamiyのアコギでカバーして弾きこなしたとのこと。
オープンDとは全弦を解放で鳴らすとDの和音になることです。つまり一番低い和音がDです。D♭は想定外です。
少し本の内容からは離れますが、
どこにD♭があるのかと探してみると、
まずは、Bメロの「時には思い切り蹴飛ばそうぜ」というフレーズがD♭E♭Fという風に
1音ずつ上がっていくコード進行です。
そして、サビのコード進行がD♭A♭E♭B♭となっています。
少なくとも2回はD♭があります。
Bメロのアルファベット順にコードが上がっていくのはアルフィーがよく使う手法で、ぱっと思いつくものだと「Always」のサビ前「♪かけがえのないものなのさ」などがこれに該当します。
つまりは、アルフィー的にはよくあるコード進行を無理やりオープンDで弾いているというほうが事実関係としては近い気がします。
オープンDを活かした曲調の中でD♭やCが出てきた感じではないようです。
もう少しコード進行を意識して曲を聞いてみると
Aメロのコード進行はDACGB♭CAです。解放弦でDということは、それよりも低いB♭とCもなかなかの難関だと思います。
ちなみエンディングは転調して半音上がります。そっちのほうがD♭より大変だと思いますが、どうしているのかはライブで確認しようと思います。
1音ずつ上がっていくコード進行が多く、半音ずつ3回以上の転調があるので結果的にAからGまでの全てのメジャーコードが使われています。
事実関係としては、オープンDチューニングですべてのメジャーコードを鳴らしていることになります。
Takamiyの「D♭できる?」は状況を軽視した景品表示違反な言い方で、正しくは「全部のコード鳴らせる?」です。
しかし、坂崎はYESという返答しかありえません。理由は事項で述べます。
ちなみに、
Takamiyがレコーディングでアコギを弾いたのは、私の調べでは
ALFEE GET REQUESTSの「シュプレヒコールに耳を塞いで」以来10年ぶりです
その時はLINE6のvariaxを使ったとクレジットされています。
「ちゃんと弾いてよ 高いギターで」
レコーディングで坂崎はTakamiyに言われたそうです。
記事には書かれていませんが、Takamiyは冷たく言い放ったと思います。
つまりこれは会話ではなく「指示」なのです。
新曲のデモはTakamiyが春ツアー中に買った000-15で弾いたらしく、これがものすごく良い音だったため、坂崎は録り直しは必要ないのではとTakamiyに進言したそうです。
しかしTakamiyに「いや。ちゃんと弾いてよ 高いギターで」と却下されたと語られています。
高いギターというのは1968年製のマーチンD-45のことを指しているのですが、
それよりも、
アルフィーの管理者のTakamiy、ギター職人の坂崎という構図がはっきりと感じられる深いエピソードだと思います。
坂崎目線で言えば、管理者であるTakamiyの指示を粛々をこなすことが自分の役目だとはっきりわかっているのだと思います。会社なら管理職と平社員、もしくは経営者と現場でしょうか。
私は良い組織ほどこうした役割がはっきりしていると思っています(私自身はフリーター)。
つまり、THE ALFEEは健全な良い組織です。
長続きしているのはこのようなはっきりとした立場の違いがあるのも一因だと強く思います。
音楽的なことは全てTakamiyに従うことが徹底されていて、揉めることはないのです。
Takamiy目線、もしくはレコード会社目線で言えば、坂崎がアコギを弾かないとアルフィーの商品として成立しないという責任があります。たとえ、Takamiyが1968年製のD-45を坂崎よりうまく弾いてもダメなのです。
坂崎とTakamiyでは見えている景色が違うということを感じさせられました。
そう言う意味ではTakamiyは孤独なんだろうなと感じます。蜂の王様というTakamiyが主人公の小説がありますが、そうした一面がうまく描かれています。
フィクションとのことですが、Takamiyが真のリーダーになろうと頑張っていたことは事実でしょう。
Terry’s TerryのハカランダとTSKの12弦
表紙で坂崎が抱えているギターについて詳しく紹介されています。
東京のHobo’sというギターショップが保管してたハカランダ材をサイドとバックに使用しているそうです。2020年8月に完成。大きさを含め坂崎によく似合っていると思います。かっこいいです。
2022年春のツアーでは本編ラストのLife Goes Onで使用していたのが印象的です。
秋のツアーでも使っていますが、どの曲で使っていたかはツアーが終わったら記載します。
TSKの12弦ギターはTerry’s Terryの12弦ギターを模して作ったとのこと。
これも秋のツアーで使っています。ライブに参加した私はとても豊かな響きがするギターだなと思って聞いています。一方で、Terry’s Terryの12弦ギターとは違う音だなと感じています。
そのTerry’s Terryの12弦ギターはレコーディングでは必ずスタンバイさせるとも語られています。
「木枯しに抱かれて…」のスコア
アルフィー楽曲のスコアが掲載されています。35年前の「木枯しに抱かれて…」です。
私は生まれていましたが古すぎです。びっくりです。
楽曲に古臭さは全くありませんが、音質を含め古い曲であることは事実です。
なぜこの曲なのでしょう。
流れでいくと「Circle of Seasons」のスコアであるべきだと思います。
Circle of Seasons発売前に雑誌を編集したと推測されます
Takamiyのギターソロも採譜されていて、音色は歪みに空間系エフェクトを重ねて重厚な感じにすることがポイントであると解説されています。
そうかもしれませんが、曲全体に統一されたエフェクト処理がなされている感じもして、
当時のTakamiyの機材を考えると、かけ録り(エフェクトをかけて録音する)ではなく、あとからスタジオ機材で奥行きを出すエフェクトをかけたのかもしれません。
当時のTakamiyの機材を紹介した記事です。
ちなみにですが、
「木枯しに抱かれて…」は1度もリマスターされておらず、2004年にロサンゼルスでブライアン・ガードナーによってリマスターされたA面の「サファイアの瞳」に比べると音質が良くないなと今回聞いてみて思いました。うまく言えませんが、音がくにゅくにゅしてます。
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